「90ミニッツ」を観て |
凄い勝負を観た。 さながら慶長17年(1612年)4月13日、あの巌流島の決闘を思わせる真剣勝負だった。 「笑の大学」から15年ぶりの三谷幸喜・作・演出、西村雅彦、近藤芳正・出演の芝居。期待が膨らまないわけがない。 ある部屋の中で、二人の男がある問題の解決のために出会う。 おとなしく会話は始まる。 その問題自体は、一方からすればごく簡単なことである。ところが相手からすると全く不可能極まりないことである。 その解決方法を巡ってやり取りが進んでいく。それはどちらかが自分の信念を反故にしないと解決できないという、大きな問題がある。 さて、どちらが妥協するのか、それは真剣勝負にどちらが勝ち、どちらが負けるのか、という凄い決闘のようなものだ。 決闘といっても、相手を論破し倒すというものではなく、双方のどうしても相手に納得してもらいたいがための議論。 相手の論点を整理し、そのうえで相手に自分の意思を通そうとしていく。 一方の相手は引き下がりながらも相手の隙をうかがい、切り返しに出る。だんだん核心に入ってくる。緊迫の度合いは最高潮に達してくる。そのほんの一瞬見逃さず・・・・・・・。 鬼気迫る、手に汗握る時間、あっという間の90ミニッツ。 |
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