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2010年7月10日・土曜日につかこうへい氏が亡くなられたときに、このホームページに「残念無念」というタイトルで私の「つかさん」への追悼文を掲載させていただきました。あれからすでに一年半が経ちましたが、やっとあの「つか芝居」が出来ることを嬉しく思います。 今回上演する「熱海殺人事件」は、オーソドックスバージョンを基調にしたもので、昨年三月に新宿の紀伊国屋ホールで上演したものです。(犯人役だけが変わっています) 紀伊国屋では「つかファン」が会場を埋め尽くし、今か今かと開演のベルを待っていた。私も久しぶりのつか芝居を懐かしくもあり、役者が変わった部分、新鮮に観た。 舞台の上は黒のリノリュウム、中央奥まった真ん中に部長の机、下手に婦人警官の小さな机といういたってシンプルな舞台道具。この中で四人の役者たちのさまざまなドラマが展開されていく。 悲しいこともあり、馬鹿げたこともあり、楽しいこともあり、まさに役者が自分をさらけ出し、全身全霊で取り組んでいかないと成立しない芝居。そんな「芝居の原点」をつかさんは見せてくれる。 チラシやポスターによく「鬼才・つかこうへい」と使っていました。稽古を始めると本人は一切休まず、稽古をつけて行く。役者の一瞬の所作も見逃さず、「口立て」で台詞を変えて行く。人間とはこんなに集中できるものだろうかと凡人の私は見ていた。まさに「鬼才」。 役者を凄く成長させていくことは定評があった。私はそばで成長していく役者を何人も見ることができ大変ありがたく、楽しいものでした。 今回の舞台で直接その指導を受けているのは、山崎銀之丞と武田義晴です。 彼ら二人の体に「つか芝居のDNA」は受け継がれて、演出の岡村俊一にも同じ指導は生きている。 鬼才・つかこうへいの「進化と変貌を遂げ続ける熱海殺人事件」をご期待ください。 |